医療業界が直面している課題や懸念事項の中には、後継者不足が含まれており、かなり深刻化の度合いを深めています。近年、病院やクリニックなどの医療機関を対象とした買収やM&Aなどの動きが見られるようになってきたのも、その背景には後継者不在という現実に起因していると言われています。
それでは、なぜ医療業界では後継者不足が起きているのでしょうか?医師は専門性のある仕事を行い、多額の収入に恵まれる職業というイメージがありますが、実は厚生労働省や自治体などの方針や政策変更の影響を受け、中小規模の病院やクリニックなどは経営が厳しくなっているようです。診療報酬の見直しもさることながら、深刻な医師や看護師の不足もあり、経営難を余儀なくされるケースが相次いでいることが理由として挙げられています。
むろん、医療機関は国や自治体にとっては必要不可欠です。超高齢化社会の日本では、病院やクリニックが機能不全に陥れば、たちまち社会全体が混乱することにもなるでしょう。そのため、現在までに色々な対策が講じられてきましたが、後継者不足という課題はなかなか解消される様子はありません。
もちろん、家族で運営しているような個人病院では、親の病院を子どもが継承しなければならないという義務や決まりはありません。しかし、これほどまでに継続困難な病院が増加していることは問題です。高齢化が進めば進むほど、医療のニーズは高まるので、これからは医療従事者の処遇改善や人材育成が急がれます。